―― 宿直室前 ――[廊下にうずくまって。声を殺してぼろぼろ泣いた。 死んだとかいう先輩を思ってではない。 名前を聞いたって顔も思い浮かばないから。 こんなことに巻き込まれた自分が可哀想で泣いた]……お母さん、おかあ、さん……!![その時、ぱたぱた足音が聞こえて。 ひくっと肩を震わせて、より廊下の壁に寄った。 小さくなる。ぐしぐしと顔を拭って、そちらのほうをにらみつけた]