─ 聖堂 ─[この位置からは、声音の落とされた壇上のやり取りは聞こえない。聞こえていたなら、途切れさせた記憶に沈めたものがざわめいたかも知れないけれど、それはなく]…………。[ただ、壇上の二人の様子が哀しげに見えて。無意識、胸元の銀十字架をきつく握り締める。鋭さ帯びた細工に傷ついた手が、藍玉に紅与えた事には、気づく事なく]