[それでももう涙は出ずに、ノーラの手に触れて] もう、なくしたくない。 だから。 エーリッヒさんの代わりに、私がノーラさんを護るの。 注射だって打って貰ったから、もうだいぶ平気なのよ。 動けるし、息だって詰まらないし、耳だってちゃんと聞こえるから。[歩き出そうとして、杖がないことを思い出した] 杖、見つけられなかったの。下の部屋にあると思うんだけど、あんまり、部屋にいたくなかったから。