─ 広間 ─[周囲から向けられる視線にも、旅人が動じる事はない。状況をどうとらえているのか、虚ろな瞳からは読み取れないが]……朱き花がいうのだから。従わなければならないよ。[周囲が主の方針のために騒いでいる、と判じた旅人は小さな呟きを落とす。それが当然、と言った語り口調のそれは周囲にどう響くか。もっとも、旅人はそれを意に介した様子もなく。幽鬼のような足取りで広間を出て行く。廊下に他者がいようがお構いなしで、向かう先は二階の自室。**]