[手に伝わったのは、浅い手応え。
距離が開いたのを覚ると、その場にがくり、と膝をつく。
引き剥がす際の勢いのためか、僅かにずれた襟元から、左肩の爪痕が覗いた]
……ちょ、これ……きっつ……!
[身体が熱い。
今新たに得た因子と、ずっと抱えてきた因子。
反応して、活性化するそれらを押さえ込もうとする、呪いの血。
身体の内に巡る力の強さは、思っていたよりも、強くて。
器が耐えられる可能性の低さが、やけにはっきりとわかった]
……ん、の……。
バカ、ども、がっ……。
[今にも崩れそうになる、けれど。
耳に届いた、名を呼ぶ二つの声に。
息を切らしながら、蒼を向けた。
蒼に宿るのは、少しだけ寂しげな。けれど、毅然とした、いろ]