[求婚されて、笑顔で「わたしは男です」と断りを入れたのは、100年は昔の話。歩くのが遅いのはよくわかっているが、己もまた遅い。それでもそっと手を前に出して、ストップ、とするよう。彼の前で口を開くのは、こうなってからは初めてだった]ウートラ、待ってくれ。わたしの聲はもう、喪われた。[そっと囁くような、小さなしゃがれた聲。それでも良いというのなら、カップは片手に避けて。こちらから、そっと抱きしめるつもり]