[ばさり。
嘆息に重ねるように、四翼が羽ばたく。
向けられる言葉に、『動かざる支配者』は薄く、わらう]
『目覚め』を呼び起こし、『流れ』を生み出すに、戦いによる『交差』は最も適している。
……結果として、『他者』の気を引くやも知れぬが、それはそれ。
その者に、それだけのものがある、という事に過ぎぬ。
だからこそ、お前も。
ここを訪れたのではないかな……ベオウルフ?
[問いかけに、銀の狼は蒼の瞳を『動かざる支配者』へと向ける。
深紫との、刹那の交差。
蒼はそらされ、四翼がゆるり、動いた]
「……俺は、俺の『同類』が生まれる事を望まない。
それだけだ」
[短い言葉に、深紫が僅か、細められる。
落ちる静寂。それを破ったのは]