[外気で悴む手でどうにか作業を終え、マテウスもまた地上へと下りる。
ロープを握り締めていた両手は真っ赤で、掌は擦り傷まで出来ていた。
しばらくは休む必要があるな、と考えながら、老尼僧の躯を検分する団長へと近付く]
喉の損傷は獣の傷に近いです。
ですが、あの場所に運ぶなんてことは出来るはずが無いし、何より、今は獣が下りてくる時期でもない。
人が為したにしても、梯子も使わずにあそこに登るなんて芸当…。
[出来るはずが無い、と。
言葉こそ発しなかったが、言いたいことは伝わったことだろう。
マテウスの言葉を聞いているのか居ないのか、団長は検分を終え、「やはりか」と一言呟いた]