─ 広間 ─
兄さん、ちょっと冷静になってよ。
ゼルギウスが人狼なら、ベアトリーチェをかばわなかったのは不自然じゃないの?
自分が生き残る為の賭けにしたって危険過ぎるわ。
それならまだ、私が人狼だって方が説得力があるんじゃないの。
[朱花の所在を知らぬのと同じく、護り手の所在も知らない。
が、雪の下で眠っている彼らの中にはいないと思っていたから、今日は誰かが護られたのだと思っていた。
が、護り手のことを口にしないのは、強く否定するクレメンスの姿に何かを感じ取ったからで。
それを追及することで、その身に危険が帯びるのを防ぎたかったから。]