― 二階/ラッセルの部屋 ―
[林檎を抱えて、途中、自分の部屋に寄って荷物を幾つか増やして。
そうして向かうのはラッセルの部屋。
彼の眠るその傍らに林檎を置く]
まだ、完全ではありませんが、色付きましたよ。
[彼は、もうこの実を持ち帰ることが出来ない。
望んでいた家の再興も叶わない]
こんな風になるためにここに来たわけではありませんのにね。
[それは、ここに居た全員に言えることだけれど。
人狼も、人間も、ただ、この時、この場に居合わせただけ]
……過ぎた事を言っても仕方がありませんね……
残る者は、先に逝った人のぶんまで、生きなくては。
[そう言って、祈祷書と灰を手に取る。ここに来て幾度目かの、弔いの言葉]