[ やがて諸王は西殿へと赴くも、会議の場に立ち入ることは許されぬ。
待つ間には自由が与えられるも、それには竜都の内のみという条件が付け加えられた。当然のことではあろうが。
父親と離れ心細いのであろうか、離れぬ翠樹の仔竜は連れて歩くこととなる。硬い床には影の足音はなく、子の足音は小さきものだ。尤も、他の者も居たのだから、例え音がしたとて掻き消されてしまったろうが。
特別行く宛てもなかったが、影は広間に辿り着いた。ソファの傍まで導き、幼児を其処に座らせると、隣に腰を下ろす。
ノーラの手はベアトリーチェの近くへと伸び、仔が求めるならば触れられる距離へと置かれた。仔が他に興味を移すまで――或いは眠りにつくまで、そうしていた。]