― 夜/井戸端 ―[赤く濡れた手を洗い流し、一応袖口の血も洗ったところで、アーベルが近づいて来た。明らかに蒼花の所在を示していると思われる言葉>>121に、男は不思議そうな目を向ける]なんで、俺にそれを言う?[問いかけてから思い付いた。この青年は「獣」にそれを伝えたいのか、と。自分を「獣」だと思っているのかどうかは知らないが…それは、人間の有り様としては異端だと言わざるをえない]お前さん…楽しんでるのか?[心の内で判断に迷いながらも、問い返す男は、やはり笑みを浮かべていたのだが]