― 昨夜 ―
[噂の名士は噂通りの好人物で、見知らぬ旅人を快く迎え入れてくれた。広間は既に客で一杯で、その殆どが若者達であることに旅人は少し驚いたが、幾人かは仕事で訪れているのだと、自己紹介や会話の端々から知ると納得した]
ああ、暖かいものは有り難いですねえ。本当に美味しいですよ。
[紅茶をごちそうになった時>>127は、まだ外の寒さに旅人の身体も凍りかけているような有様で、口にした感想は、味が判っているのかどうか、いまひとつ微妙なものになってしまう]
ええと、申し訳ありません、ギュンターさん。初対面でお願いするのは図々しいとは思うのですが…
[やがて、外はいよいよ酷い嵐となって、他の客人達と同じ願いを、旅人が遠慮がちに口にすると、屋敷の主人は鷹揚にそれを許してくれた。その後は若者達と一緒に食卓を囲んだり、少々酒の相伴にも預かったり、旅人にとっては物珍しい賑やかな夜を迎えることとなる]