……相変わらず、無茶を言うな貴様は。
「無茶の代名詞みたいなヤツに言われたかぁ、ねぇよ」
言ってくれる。
……で? ご用件は何かな、宮廷占星術師長殿?
[敢えて名ではなく、肩書きで呼びかけつつ問う。
漆黒九尾の魔獣はぐる、と低く喉を鳴らすと、くるん、と器用に後方一回転。
再度光が弾け、九尾の魔獣は黒衣に身を包んだ黒髪の青年へと姿を変える]
「宮廷占星術師長の名において。
『金色の獅子王』の欠片残存分、速やかに引き渡すように。
これは、魔導施行法に基づく決定につき、迅速かつ誠実な対応を請う。
……ったく、ふわふわと反応させずに回収してくれ、っつってんのにこの性悪は……因果律が震えるから、やめれっつってんだろ!」
[黒髪の青年──王国ルーの宮廷占星術師長は、真面目な口調で口上を述べた後、じとり、と睨みながらこう言った。
もっとも、受け止める真紅はまあ、面白そうな態度を崩しはしないのだが]