[見据えてくる視線を受け止め。駆けるスピード緩めながら、手持ちの1本を美結の足元ギリギリの地面に打ち込む。どこか慎重さの滲む動きは珍しいものでもあった。意識が美結本人からぶれる。あ、しまった。一瞬振り向いた時、ハッとする。壁の2本が抜けない。そうか、風の勢いのせいで深く刺さりすぎた!逡巡している暇はもうない。不完全であろうと、強度が足りなかろうと。]