―回想・屋外―
[自衛団員達は騒いでいた。彼もまた容疑者の一人でるのだから。
その混乱の中近くまで寄り、そっと手を伸ばす。
首は大きく開いた傷口を晒したまま。流れるものも既に絶え。
冷たい。暗翠はもう何も映さない]
「お前っ!」
やめてくれ。
とにかくライを。早く。
[静かな、だが気迫の篭った声に団員達が再び動き出す。
布に包まれ運ばれていくのを見ていれば、中に入れと命じられる。
素直に従い戻る途中、鎖の切れた十字架を拾い上げる。
見せて貰った事は無い。だからそれが彼のものだとは知らない。
だが確信に近い何かを感じてそれをポケットへと仕舞った]