[母は、弱い人だった。芽生えた命は二つだったけれど、満足に生きる力与える事が出来ず。生れ落ちるだけの力しか得られなかった兄は、瞳開ける事も無くその命を閉じて。母は、もっと弱くなった。][初めは、兄の死は母自身のせいだと、己を責めていたらしい。それが徐々に、兄が何故死ななければいけなかったのかという思いに変わり。何時しか、兄を殺したのは私だという考えに、変わっていって。毎日のように、母は私を罵倒するようになった。]