[視線を向けられれば、澱みない動きで再び紅茶を注ぐ。
空のカップが、先程よりもやや色の濃くなった液体で満ちて。
最後の一滴まで注ぎ切った後に、ミルクポットを手にし、
好みの分量を伺いながら白を混ぜていく]
はい。
様々な年代、様々な職種の方がいらっしゃいますね。
[問われた事に、彼女が何を求めているかは気付いただろう。
が、こちらも世間話のように、素知らぬ振りで言葉を返す]
珍しい……というと、レーヴェ様の事でしょうか。
各地の神話や伝承を研究されているそうです。
以前は、旅をなさっていたのだとか。
[芳名録に書かれている程度の、当たり障りのない事を。
客人の情報を、妄りに己が口にするべきではないから]