[そんな日が続いた、ある夜。眠りに落ちた私の上、母がナイフを持って馬乗りになった。目覚め、事態に気付いた姉がすんでのところで止めてくれなければ。私はきっと、殺されていただろう。][母は、弱い人だった。兄の死を受け入れられず、私の生を受け入れられなかった。姉の言葉も、母には届かなかった。父は、そんな母を愛していた。母だけを、愛していた。そして私は、母の為に「アレーナ」を奪われて。「アレクセイ」となることで、生きることを許された]