─ 前日 ─[談話室を出た後、男が向かったのは地下の貯蔵庫だった。持ち出したのはチーズや燻製の類と、酒。それを持って客室に閉じこもる。もっとも、このまま篭りきっているつもりはなく]……なんとかして、ここからずらからねぇと。[赤毛の少女から向けられた言葉を思い返す。このままここに居たら命が危うい。それは、本能的に察知していた。とはいえ、その日は結局逃げ出す機を逸して──翌日]