……ほんとに、もう。
[小さく呟き、身体を冷やさぬように、と上掛けを掛けて。
けれど、零れた滴の痕には手を触れる事はしなかった]
タオ、姉さん、頼むな?
[代わりに、物言いたげな茶猫をぽふり、と撫でて。
承知、と言いたげな鳴き声に、ほんの僅か、口元を綻ばせた]
……姉さん。ごめん、ね……。
[それから、ごく小さな声で謝罪を紡ぐ。
言い出しても詮無い事、とわかっていても。
あの時、出かけるのを引き止めるなり、自分も着いて行くなりしていれば。
そうすれば、こんな事にはならなかったのではないか、と。
そんな思いは、やはり、消えてはくれず。
それが、先に指摘された、『一人で背負おうとしている』部分であるのも、自覚していない訳ではないのだけれど。
棘の如く刺さったそれは、容易く抜けそうになかった]