─ 回想・昨日 ─
[地底湖から家へと戻る間も、やっぱり周りの人の目はいつもと違って。
手を繋いでくれたままのブリジットが何度かしてくれた囁き>>99に、その都度こくこく頷いた。
ブリジットの顔もどこかぎこちなくて、怖がってるみたいに見えたから、怖いのは私だけじゃないって思えてほっとした。
家に帰って、宿に泊まるのは反対だという父に口添えしてくれた時、もう一つの理由を内緒にしてくれた>>100のも嬉しかった。
帰りたくないなんて、お父さんが聞いたらきっともっと悲しませたから。
リュックの中には着替えとちっちゃいお財布、それとお父さんがいつも使ってるパレットナイフ。
刃先は丸いから刺したりはできないけど、ぎんの細工がしてあるからお守り代わりにって渡してくれた。
昨日ゲルダお姉さんからもらったハンカチは雨で濡れてしまったからまだしっとりしてるけど、ポケットの中に入れて。
青い服の人形を抱っこして、ブリジットと一緒に家を出る時、もう一度お父さんがぎゅってしてくれた。]