[泥濘に足取られぬように、気を払いつつしばし歩み。朝霧うすれるその向こう、青い姿を見つけきょとり瞬いた。]…ああ、揺藍殿であったか。[声をかけつ近寄れば、蜜色は何を見ていよう。くしゃり乱れるくすんだ空色は、雨に降られた猫にも見えん。]やれ、もったいない。梳いてやれば美しかろうに。[手を伸ばせばその髪を、手櫛で梳こうとするだろか。]