[厭な夢をみた]――…んっ。[小さく声をあげ身体を起こす。夢に見たのは朧だったはずの記憶。十五年前に海辺の断崖から落ちて怪我をしたあの日の事。けれど今、目の前にあるのは白いシーツ。その向こうによく知る者の横顔が見えた。ぬるくなったタオルを熱冷ましになるようかえてからライヒアルトの部屋を静かに後にした]