[聞こえるコエ>>4:*27とコエ>>17。
同じものを返せぬ青は、く、と笑って僅かに俯く。
例えコエを返す事ができたとしても、青は内なるものを乗せたコエを返しはしなかったろうが。
元より、自身の深い感情を示す事は少なかった。
内心を容易く晒しては生きられぬ場にあったが故に。
常に見せる軽薄さの裏、どれが本来の自分なのかすら、曖昧な日々を重ねて。
そんなやり方に慣れていたから、ここで得た『仲間』たちに対しても、本心を晒す事はせず。
ただ、己が矢面に立つ、という意志だけを示し続けていた。
己が本音など伝えなくてもいい、『結果』がついてくれば──『仲間』が失われなければいい、と。
その意志が青を紅に染めきらず、鬼でありながら人の意識を捨てるに至らせなかった]