―衣装部屋―
[硬く、そのままの姿で石になってしまった女に話している。]
……そう、すべて、うまくいっているかに見えた。
仕事に誇りをもっていたし、信頼も受けていた。
だけど、悪いことが2回重なった。
ひとつは、自分のうちが焼けた。
誰も命は落とさなかったけど、
うちがなくなって……それを支えに生きていた祖母が、まるで枯れるように亡くなった。
いつでも、まるで花びんに生けたダリアのように優雅で落ち着いた人だったのに。僕は祖母が好きで、いつまでも、祖母はそんな人なんだって思ってたから、
だから、それがまるで焼けてしまった煤みたいになったのが、信じられなかったし、つらかった。