……え?
[準備の中、不意に向けられた謝罪。
言わんとする所が図れず、天鵞絨がゆるく瞬く]
いえ……お気になさらずに。
どちらにしても、あのままには出来ませんでしたし。
[間を置いて、軽く首を横に振りながらこう返して、それから]
……気の利いた仲裁でもできれば良かったんですけど……そういうの、あんまり、得意じゃないから、俺。
今だって、お茶淹れるくらいにしか、役に立ってませんしね。
[冗談めかして言えば、それは違う、と何かが囁く。
力あるもの、成すべきを成せ、と。
それが聞こえた瞬間、拒むように頭を左右に振っていた。
唐突な仕種の意を問われるなら、何でもないです、と笑って。
無意識、銀十字架を握り締めた]