→ 2階廊下 ―[変な寝跡が残って居ないか確かめるよう顔を手で擦りながら、廊下に出る。階段に向かう足を、けれど一旦物置の前で止めた。先刻夢現に聞いた久方の音色が、確かに耳に届いたから。]……、あれ?[子守唄から曲は変わっていただろうか。何にせよ、こっそり覗き込む物置の中、見付けた人影に目を細める。]――、…。[彼が紡ぐ同じ筈の音色が、何時もと何故か違って聞こえるのは。楽器の調律具合によるものか、それとも奏で手の心境故か。解らない、けれど声を上げる事はしない。]