― 物置・扉口 ―[過去にも演奏を遮る事は、無かった、筈。唯、初めて教会でその音色を聴いたその時は、わあ、と隠さず上げた感嘆の声で彼を驚かせたかも知れなかったが。]…。[兎も角、曲が途切れるまでは声を掛けはしない。手紙を託す事も、寝跡を確かめる事も忘れて唯音色を聴く。同じように旋律に釣られた誰かが来た時に、その人の行動を邪魔する事もきっと無いけれど。**]