─ 宿屋前→宿屋 ─[怖いのに、悲しいのに、恐ろしいのに。表情に大きな変化は出せない。ただ、視線も意識も頭だけになった人から逸らせぬまま、へたり込んだままでいて。いつの間に来たのだろう>>85デザイナーがその傍らに膝をつくのを見て、何をしているのだろうとは思いながら問うことすらできなかった。宿から出てきたイレーネがこちらに近付いてくるのにも気付かないほどに呆然としていたが。]