[一度カルメンへと視線を向けて楽器を構える。何を演奏しようかとずっと考えて、漸く決めた音を指が紡ぐ。選んだのはドビュッシーの「月の光」月のいとし子たちを包むように緩やかに音が流れる。その音は、広間にも届くかもしれないがカルメンには届いているだろうか、喜んで、くれるだろうか。やがて、演奏を終えたなら、普段と同じように礼をする。*]