─ 黒珊瑚亭 ─え、ゼルおじぃが…?[>>162宿屋に入ってすぐに、アーベルにそう言われて、驚いたような顔をする。誰が死んでも、子供はきっと驚いて同じ顔をしたろうが。言った後で、もう一度赤い痕を見ると、ごくりと喉が鳴った。昨日よりもずっと、死が傍にあり、恐ろしいような緊張したような、そんな気持ちになっていた。]うん。[肩に手を置かれると、はっとしたように視線をアーベルに向けて、返事と一緒に神妙にうなづく。その気持ちは最初からずっと変わってない。変わってないはずだと子供は信じていた。]