[歩を進めると同時、後ろに下がって行く少女>>173。
最初は距離が縮まらなかったが、少女が壁を背にしたことで徐々に近付いていって。
首を横に振る少女の傍に寄ると、出会った時のように頬をぺろりと舐めた]
くぅん … (カレン…)
[触れた瞬間、少女は犬に抱き付き泣き崩れる。
身体に回されているのは片手だけ。
もう片方からは紅が零れ落ち、床を染めていく]
わぅん (ずっと傍に居るよ)
わふ わぅ (2人ならきっと、衝動にも負けない)
[片腕で抱きついて来る少女を支えるようにしながら、犬は鼻先を欠けた少女の腕へと近づけた。
その傷口を労わるように舌で舐める]
わぅ おんっ (絶対、俺が護るから)
[口の中に鉄錆の味が広がるが、構うことなく舐め続けて。
犬はどうにか出血を止めようとしていた]