― 回想・幼い頃 ―[母は自分を産んだ後で体を壊したが、それでも体調の良いときは自分が寝付くまで傍で歌やお伽噺を聞かせてくれた。ある夜、なんとなく父との馴れ初めを聞かせてほしいとねだった時には、とても困らせた覚えがある。たぶん、昼間に読んだ童話のお姫様と王子さまに比べて、母はともかく、父は厳つい顔で年も『王子さま』より『王子さまの父』くらいの年だったから疑問に思ったのだったか]