─ どこかの林 >>186 ─
[相手の通ってきた道筋などは当然の如く知らぬから、受け入れられた理由は気づく事もなく。
黒猫妖精の言葉に、安堵を見せた男の手の中から現れた琥珀に、最初に零れたのは、嘆息。
それは、彼が『神樹』と接触したという、何よりの証]
……ったく、自分動けねぇからって、雑事全部回してくんだから。
[そんなぼやきを一つ、落として]
いやま、熊倒せるかどうかは置いといて。
……で、『ご同類』さんが、オレに何の用事なんよ?
『同郷』って訳じゃあなさそうだし……こっちでの仕事の依頼ってんでもねぇんだろ?
[それでも、琥珀を手にしているという事は、少なくとも害意はないから、と、僅か、口調は柔らかくなる。
同時、一体何の用かという疑問が浮かんできて。
漸く両手を下ろした男に、やや、首を傾げてこう問いかけた。**]