―→広間―
[本を手にしたまま、一度広間へと足を向けた。
中から人の声がするのを聞いて、扉の前で一度息を吐き、いつもの笑みを貼り付けて中へ。
使用人の少女は既に厨房へ向かった後か]
失礼します……おや。
お嬢さんはお休み中ですか。
[勿論この場合の“お嬢さん”はソファーで寝ている少女のことを指す。気を使うように少し声を潜めた。
それぞれに礼をした後で不精髭の男性>>191を見れば、何やら楽しげな様子に気付いて首を傾げるが、空気には気づかずに]
そちらの方は……確か、初めまして、ですよね?
[作り笑顔を崩さないまま、確認を込めて声を掛けた。
彼が長期滞在中であることも、叔父との間に何があるのかも勿論知らない]