― 浜→黒珊瑚亭の途中―
“大丈夫、一生懸命お祈りして、心からお仕えすれば、
神様はちゃんとお聞き届けくださるわ”
[家族の中で唯一、心からの信仰の持ち主だった姉。
彼女に連れられて教会に通ううち、
孤児院にいたヘルムートとも知り合ったのだったか。
再会を果たしたのは、わりと最近のこと。
ヘルムート・ルーデンという、懐かしい名を持つ音楽家の
噂を耳にして、もしや彼ではと、聴きに出かけた。
12年前に、島民との接触を禁じた両親>>172は
既に亡くなっていたけれど。
それでも会わない方がいいと、よく分かりつつも、
懐かしくて、声を掛けずにいられなかった]