―広間―
[自分も傍の椅子を引いて座りカップに口をつけた。
視線を上げるとユリアンが見えた。いつも同じ席に座っている様子は変わらないものを示しているようで。
何だか泣き笑いのような顔になった]
イレーネちゃん…。
[小さな嗚咽が聞こえて立ち上がる。
はたりはたりと雫を零す少女の頭にそっと手を伸ばした]
そう、好きなだけ泣いてしまいなさい。
悲しみに潰されないように。
好きなだけ泣いていいのよ。
[ユリアンの言葉を繰り返すかのように言う。
叶うならば母が我が子にするみたいにその頭を抱きかかえようと。左肩に生まれてきた違和感は二の次にして、イレーネの頭を*撫でようとした*]