― 浜→黒珊瑚亭の途中―
そういえば、昨晩のヘルは、
やっぱり、様子がおかしかったな…。
[自分の苦笑を、流してくれたのはありがたかったけれど。
“忙しくさせてもらってた”過去形で語られた言葉>>63と苦笑、
肩を竦める仕草に。体調を案じた視線への誤魔化すような笑みに。
姉の看病の為に、この1年ほどは彼の音楽を
聴きに行ける機会もなかったが、
何かあったのだろうか…と、案じる気持ちが湧いた瞬間]
……あっ。
[歩きながらも、掌の上で放っては受けを繰り返していた
紅珊瑚の指輪を受け損ない。指輪は軽い音を立てて地面に落ちた]