― 浜→黒珊瑚亭の途中―[姉の華奢な薬指に嵌っていた指輪は、自分には小さすぎて嵌められない。昨晩の彼女との会話>>64に、お互いの仕事の話も出たのだったか。ゲルダなら、適当な糸か紐を持っていそうだと思いつく]エリィ兄、か…。[おそらくは朧ろな記憶の内から思い出してくれたのだろう、少し自信なさげに口にされた懐かしい呼び名>>64。けれど、覚えていてくれたことが嬉しく、一瞬だけ頬を綻ばせると、足早に黒珊瑚亭へ戻った]