[おそらく然程時間も経ってない頃、懐かしくも思えてくる声に呼ばれて、見ているようで見ていなかった焦点を、死体に合わせた。合わせようとして、違うものに当たる。]ふーちゃ。[一瞬、生き返ったと思うくらいに、生きてる頃と変わらない姿で。だが自分の姿が見えてるという事はつまり。死んだのかという問いに、鼻を啜る音が返った。]うん、ごめん。なんか何も、出来なくて…。[面を少しずらし、袖で拭うと、袖の色が少し変わる。口元はやはり前のまま、普通の人のようだった。]