─ 宿屋 ─
あら、ごめんなさい。
ちょっと考え事してて。
[意識が一寸離れていたからか、宿の主が戻ってきたのに気付かなかった。
部屋の用意が出来たと声をかけられ、ようやく意識を戻すと謝罪を述べた後、何を考えてたのかと問われて笑顔を浮かべ]
大したことじゃないけどね。
ちょっと顔を出したいところを思い出したの。
荷物だけ置かせてもらえるかしら?
[言いながら革の鞄からクラッチバッグを取り出して。
了承が返ったのを確かめた後主に鞄を託して、また外へと出ていった。
向かうのは、老尼僧がいる聖堂の、ピアノの元**]