─ ロッカー→厨房 ─
[ロッカーを出ると、大広間にある、生々しい表情のまま石と化した中年女性の像が視界に入る。必要有ればそれらを躊躇無く壊すと言ったが、像を見て何も感じない訳でも無い。]
──ゲルダ。
小分けにして持ち運べる食事を作っているのか。
そうだな。
時間も無い。出口の封鎖された一階に
何時までも留まっているわけにもいかぬ。
二階の部屋奥に、三階へ続く隠し階段があった。
と、私が、残った最後のシチューをさらえてしまっても良いか。
緊張している時は空腹を感じ難いが。
行き詰まった時は、食事で気分転換する事にしている。
[缶詰の仕分けを手伝おうとして、賞味期限の記述場所を知らない無知を露呈する。缶詰を開けた事も一度も無かった。]
嗚呼、美味だな。
学生時代に姉兄妹弟が10人も居る
友人宅で食べた夕飯の味に似ている。