[走った所為もあって、咳き込むと数秒の間扉の前に蹲った。そして、手に持ったナイフを見つめる。食べられるのなら、その前に――。死ぬことは、怖くない。首筋にナイフを当てる。引いてしまえば、この部屋は赤く染まる。そう思っても、直ぐに実行できるほどでもなく。近づく足音が聞こえる気がして、心音が早くなる。ナイフを当てた先に、痛みが走って血が滲んだ。もう少し、深く切らなければ。そう思うのに**]