― 物置・扉口 ―[黒と白が、彼の指先で沈み浮かんで音色を作る。その連なり>>198は、独り泣いているようにも聴こえた。]……ぁ、[暫くぼうっと戸口に身を寄せていたが、音が途切れ擦れた咳を聴くと、正気付いたよう一つ瞬く。視線が合った。]ライさんの、ピアノが聞こえたから。[視界に映る表情は、あの日教会で見付けた男の子のそれ。懐かしむようにも、少し目を細め。惑うような問い掛け>>201に答えるが。]…喉、如何かしたの?