─ 広間 ─
[つまみを口にしながらミハエルを見る。
姪と酒を共にすることになるとはな、と心中だけで呟いた]
[思い出すのは妹が死んだ年のこと。
それまでは妹と姪が村に来た時は極力別荘の方へ行かないようにしたり、買い物等で歩かなければいけない場合は他に頼んだりして、鉢合わせないように注意を払っていた。
周りの協力もあって妹に自分が村に戻っていることは知られずに済んだが、その後に事件は起きた]
[ミハエルの父が、ミハエルを孤児院へ連れて来たのだ。
突然のことで、その時クレメンスは酷く動揺した。
一生顔を合わせずに居る心算だったからだ。
そのことはミハエルの父も承知済みのはずだった]