[下がる相手の様子に、一つ息を吐きつつ、態勢を整える。
焦燥が募るのは、力の制御が上手く行かないことか、それとも、上が気になるからか]
くっ……。
[ふるり、と頭を振り、意識を目の前に集中させる。
止めなければ、という思い。
『司』としてのそれに、今は、意識を向けた]
『司』を喰らった『憑魔』……。
[それが、大きな力を得るのは、『知って』いたから。
ぎり、と。唇をかみ締めて]
……何をどうしようと、自分は自分、他人は他人……。
そうやって、他のものにばかり依存している限り、何も得られは、しないっ!
[叫びつつ、風の刃を二筋、走らせる。
唸りを上げるそれは、薄い三日月を思わせるか]