―― 第二階層 スタッフルーム前廊下 ――
[自分が燃料投下をしたっていう自覚はない。
ただ燃え上がっていくクラウドと、何か無性に悔しい自分の気分が合わない気がして、すぐ離脱した]
……も、やだ。
豪華客船にのってたら、こんなこと絶対なかったのに。
なんでこうなるの。
こんなの、嘘。嘘だ嘘うそ。
だって、結局何も起きてないじゃない。そうだ、嘘なんだ。
[自分に言い聞かせて、自分のどこか一部はそれを信じているのに。なぜだかこらえていた涙がほろりと落ちた]
[剣呑な目つきの人が増えていく。スタッフルームの出入りも多くなる。隅につつっと寄った。壁にもたれかかり、歯を食いしばって喉を震わす。手の甲で雫を受け止めた]
馬鹿みたい、あたし、ホント。
ターザンがメイドで鼠一匹、だっけ。
あっという間に解決したよってなるに決まってるのに。