[夕飯の後、片付けをして退散──と、思ったものの。来客も絶えた状況では、さすがにそうも行かずに捕まった。卓を挟んで向き合う父から来るのは、小言と苦言と、そして]「櫻木も、代が替わる。いい機会だから、お前も戻って葛木を継げ」[端的で、そして、自分にとっては一番面倒な、言葉。それに即答はせず、ただ、視線を右の手に落とした]……家の存続にしろ、技術の継承にしろ……別に、俺でなくても構わんだろーに。[空白を経て返したのは、こんな言葉]