[ 破れぬ結界の傍から草花や僅かながら光の零れる庭先まで移動した後、暫くは大人しくしていた仔らであったが、特に陽光の仔竜にとって、一所に留まるというのは苦痛であったらしい。
ベアトリーチェに意識を寄せている間に、夏玲は姿を消していた。仔には重そうな布を纏っていても、そういったことは得意であるようだ。
翠樹の仔竜を抱えて捜し歩いていると、人の居なくなったと思われた西殿に、疾風と、ついぞ姿を見なかった時空の気配が感じられた。]
ティル、ユーディット。
どうかされたんですか?
[ 歩み寄りつつ問いかけ、知るのは天聖の側近の事。
* 王の声は、今、聞えなかった *]